ガラクタ♂♀狂想曲
お父さんのところで暮らしてはいるけれど、いまほとんど帰れない状態のデンちゃんは、西崎さんたちが手がけているミュージカルに出演する子役たちの歌指導をするという大役を務めていた。
それは私でも耳にしたことがあるミュージカルで、そのほとんどが素人から選ばれた子どもたちばかり。
幼稚園児の子から高校生までいるし全国に散らばっているから、いまは二ヶ所に分かれ、それぞれ集めてレッスンをしている段階だから大変なのだそうだ。
店は空けないようにスケジュールは組んでいるそうだけれど、東京でやるときは西崎さんに挨拶回りや顔見せで連れ回されていた。
それとは別に、ウィーンからも話が来ている。
それも同じく裏方さんみたいなことだとデンちゃんは簡単にいうけれど、そっちは日本語で通じる相手じゃないのに。
だけどデンちゃんは、英語でも通じるからね? とさらりというし、ドイツ語は悪口いわれたらわかる程度? と普通に話す。
デンちゃんが英語ペラペラなのも知らなかった私にとって、いろいろ理解の域を超えてしまう。どうやらお母さんがグローバルな人だったらしく、デンちゃんは小学校3年までインターナショナルスクールだったそうだ。
田舎者のデンちゃんなはずなのに。
「朝ですよ〜」