ガラクタ♂♀狂想曲
「これは俺がショコちゃんとこのビール飲んだし、お礼と宿代だから」
まあ言ってみればそうなんだろうけれど、そういや誰かにお金を払ってもらうだなんて久しぶりのこと。つまり要するに元カレが、まったくお金を出していなかったことに気付く。スナック菓子が入った袋のほうは私が持つことにした。
「帰ったらお風呂も溜まってるだろうし、今日はずっとショコちゃんと一緒」
"今日は"
ま、いいけど。
そして帰り道は手を繋ぎ、それをデンちゃんはぶんぶん振り回しながらマンションへ戻ってくる。
「ささショコちゃん、先にお風呂入ろ」
私の腕を引っ張りながらぐいぐいバスルームのほうへ。
「いいよ、私はあとで。デンちゃんお先にどうぞ」
「一緒に入ろ」
そして自ら上着を脱いだデンちゃんは、私の服へ手を掛ける。されるがままの私。
「——デンちゃーん」
「なにぃ」
「……」
私が、おかしいのかな? そうなのかな?
いや、どうなの?
アシカや瑠美ちゃんのことも、気になるところではあるけれど。とりあえずは——、まあ、楽しければいいかな。
「つッ、つべたい!!!ショコちゃん、これめッちゃ冷たい!」
シャワーを捻ったデンちゃんが大騒ぎ。お湯が出る前の真水を、直接身体にあてたようだ。その慌てふためきように思わず吹き出してしまう。