ガラクタ♂♀狂想曲
「——ねえショコちゃん」
「うん」
懲りてないな、私も。
また、この雰囲気に持ち込んでしまった。
「それはショコちゃんだって、知ってるじゃん」
「知ってるよ」
これまで腐るほど、何度も聞いたし。
「ルミのこと、何も知らないくせに」
「知るわけないじゃない」
ルミちゃんどころかデンちゃんも。
私はただ、ルミちゃんのことを大好きなデンちゃんを知っているだけ。
——デンちゃんの本名すら、知らないのに。
「ルミは彼氏のことで、ずうっと苦しんでいる」
この話だって、何度も聞いた。
「苦しんでる、ねえ…」
思わず言葉を飲み込んだ。ルミちゃんの苦しみより、私のほうが理解に苦しんでしまう。だって苦しいなら異性のデンちゃんなんかに相談しないで、自分で解決したらいいのに。
きっと自分を慕ってくれているデンちゃんを、わざと相談相手に選んでいるに違いない。
「よく泣きながら、電話も掛かってくるし——」
結婚しているわけでもないんだし。
苦しいのならさっさと別れたらいいだけ。
「だけどなんだか私には、悲劇のヒロイン気取りに見えるけど」
「違う!」
はあ…。ルミちゃん、あなたよっぽど愛されてるね。