ガラクタ♂♀狂想曲

デンちゃんにキスマークをつけたことは、ぼんやりどころかはっきり覚えている。ついたかどうか暗くてわからなかったから、何回もやった確信犯だし。だってそういうテンションだった。

頭の中がみるみるデンちゃんでいっぱいになってしまって、どうしても私の手に欲しくなった。

けれど自分の胸にもついているだなんて。こっちは、予想外だったわけで。


「うーー…」


布団に顔を押し付ける。


「ショコちゃーん?」


するとデンちゃんが私の背中を撫でた。


「頭イタい〜〜〜〜」


だってキスマークって、どういうときにつけたくなるもの? 私とデンちゃんは一緒の気持ち? それとも私に併せてくれたとか。

だけど私のは、あのときに感じた一過性のものだったはずだし、だからやっぱりそういうんじゃなくて…、

だけど——


「二日酔い? 水飲む?」

「………デンちゃん」


あのさデンちゃん。


「なに」


キスマークのことに触れるべきなのか、それともスルーしちゃうべきなのか。

なんならいま自分についてるのを、気づきたくなかったかもしれない。どう対応していいのかわからないし、なんか急に恥ずかしくなってくる。

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