ガラクタ♂♀狂想曲
「わかったよ。じゃあ、もう言わないから」
だけど、それなら私に相談しなければいいのに。アドバイスめいたことをいうわけでもなく、半ば呆れながら聞いているだけなのに。
それにしてもデンちゃんて、つくづく勿体無い人生歩んでると思う。だってルックスは悪くないし、むしろいいほうの部類だと思う。昼間は学生しながら、ホストもやってるぐらいだし。
しかもホストなのにこんなに一途で、いったいルミちゃんはデンちゃんのどこがイヤなんだろうってすら思う。
「あいつは…、ルミは本当に苦しんでる」
クリッとした、笑うと愛らしい光を放つ瞳。ベージュ系の柔らかい髪は全く下品に見えず、それどこかとても似合っている。
大きなサングラスだと顔が全部隠れてしまうんじゃないかと思えるほどの小さな顔。そこに纏まりよく、綺麗に並ぶパーツ。
女性ならずとも、誰でもこんな愛くるしい顔のデンちゃんが、こんなふうにシュンとすれば母性本能がくすぐられるんじゃないだろうかと思えた。
「ルミは——」
「でも私はそう思えない。もうその話はしないんじゃないの?」
「だけど」
「デンちゃん聞き上手で優しいから、いいように軽くあしらわれているだけだって」
「———ルミを悪く言うな」
「はいはい」