ガラクタ♂♀狂想曲
「さあてっと。俺、ダッシュでシャワー浴びる。汗かいたし、髪が——」
そしてシャワーをキュッと捻ったデンちゃん。
「ショコちゃんも一緒に入る?」
「はいはい、お先にどーぞ。だけど早くしてね。私も浴びたいから」
「わかった。——あ、俺が瑠美とエッチしたら、ショコちゃんには一番最初に報告するし」
「そりゃ、どーも」
そんな報告、要らないし。
どうやらデンちゃんは私の中でただの通行人Aではなくなった。
それはあのとき、私がデンちゃんに電話をしてしまったからで——、自業自得。
だけどデンちゃんと過ごした日々は、私にとっていいリハビリになったと思っている。こうしてあっという間に日常生活へ戻ることができたのだし。
あんなことがあるまでは、バカみたいに元カレのことが好きで。
目の前に現実を叩きつけられ、途方にくれていた私の相手をしてくれていたデンちゃん。次の恋愛だなんて、全然考えられなかったのに———…。
「——はあ」
最初から好きな人がいると言ったデンちゃん。私もこれまで年下なんて絶対無理だと思っていたし、それにホストもありえないと思っていたのに——。
だけどセックスはいい。元カレのなんかより、ずっといい。それはきっと、いつ目の前を去るかもわからない人間に気を遣う必要もなかったから。
イクだのイカないだのの演技をする必要もないと思ったら、なんだか気楽で身体が解放された。
最初はそうだった、のにな。
デンちゃんはずっと変わっていないのだし、変わったのは私。瑠美ちゃんがアシカだろうが、30歳だろうが、本来は私に関係ないこと。
「……なんかヘコむな」