ガラクタ♂♀狂想曲

そしてふたたび私の手の中で鳴りはじめた携帯。同じく名前は山下瑠美だ。

仕事しているとは聞いていたけど、この時間に会うことが出来るなんて。てか私、瑠美の仕事って聞いたことあったかな? そういえばこれまでデンちゃんの話をただ聞いていただけで、自分から何かを聞くことってなかったかも。


「……」


私の手の中で山下瑠美という名前が表示される携帯。30歳——…、か。

おミズ関係? はんなり着物とか着てたりして。でもアシカだしな……。

やっぱり謎が多い。だけど瑠美がデンちゃんから私のことを聞くことって、あるのかな。どうなんだろう——。


「……」


ぽち


『ハヤトくん、もしもし?』

「……もし、もし」


出ちゃった。


『あら? 番号間違えちゃったかな』

「————ハヤトくんなら…、いまシャワーに」


だけど口に慣れない名前。ハヤトって。


『あらあなた』


すると少し声色が変わった瑠美。


『あはは。いまあの子、シャワー中なの?』

「はい」


怯んでしまい若干声が上ずってしまった。


『そう、わかった。ありがとう。それじゃあ後でまた、掛け直すわね』


私のこと、知ってるのかな。それとも、また別の女の名前が出てくるとか。


『だけど愁の携帯へ勝手に出たらダメでしょ? 貴女って相当オツムの軽い、お馬鹿な子ね』

「……」


オツムの軽い、、、お、おば、お馬鹿? 頭を鈍器でガツンとやられたような衝撃がいつまでも残って言葉が出ない。そういや愁はデンちゃんの源氏名だよね、確か。


『愁を潰したいの?』


潰す?

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