ガラクタ♂♀狂想曲
「ショコちゃーん」
あのバカ男、ここからさっさと追い出してやる。そしてこんな自堕落なクズ生活から、いますぐにでも抜け出してやるんだから!
「あーもー」
くっやしい。
おそらくというか絶対私って、ダメンズを引き寄せてしまう何かがあるに違いない。だって前の前の男もイカれてた。普段は優しかったのに酷い酒乱で、腕とかに痣や歯形くっきりの噛み跡とか、わけのわからない傷たくさん作ったし。
だけど酒さえ飲まなきゃ普通の男だったから、なんだか離れられなくて。そこから抜けださせてくれたのが、前の男———。うう、最悪。なんかループってる。クズ生活何年やれば気が済むの。
「わおショコちゃん。クッションがこんなとこ落ちてるぅ」
「私が投げたの。大体いつまで入ってるのよ」
「一緒に入ればよかったのに」
「いいからさっさと着替えて、とっとと瑠美ちゃんところ行って」
ここまで頭にくるだなんて、私やっぱり懲りてないな。だって頭の中が相当デンちゃんでいっぱいだったてことじゃん。
だけど今回は、いままでとは違うと思う。サラッと流せる。まだ1ヶ月で、傷は浅いのだし。
「ショコちゃん見てちょっと。ほらどう?キスマーク見えない?」
そしてカチャカチャとベルトに手を掛けながら、首をぐいんと伸ばし傾けてみせるデンちゃん。
「ねえショコちゃん、どお?」
見えたからってどうなのよ。むしろあの女になら、返ってそれを見せたほうがいいかもじゃん。能天気な顔してバカじゃない?
「それバレたら、エッチしてくれるかもね。焦って」
「——は?」
鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情で首を傾げるデンちゃん。
よくよく考えれてみれば、さっきの電話ってなんか嫉妬がらみの嫌味っぽかった気もする。彼氏がいる瑠美にデンちゃんのほうが勝手に怯んで、自分のものになるまで手を出さないと決めているとしか考えられなくなってくる。