ガラクタ♂♀狂想曲

キスマークだって1週間もすれば消えちゃったしね。向こうだって消えてるし。

それに、
それに、
それにッ

やっぱり恋愛ってさ? 手を繋いでドキドキしたり? チークなんか入れなくても頬なんかぽっと赤くなってみたりとか。だけどデンちゃんとは、そんなの全然なかった。そういうの、なんかすっかり飛び越しちゃってた。

だからあれは別物。
あんなのは特別。
これでよかった、ズルズルするより。
——ズルズルしてるけど。


「あー…、ちっくしょー」


こんなことなら、やっぱり好きっていうのぐらい、ちゃんとデンちゃんに言えばよかったかな——…。だから不完全燃焼というか。バスンと気持ちが切り替わらないというか。

またひょっこりショコちゃんって現れるんじゃないかって思ってしまう。
きっと私、どこかでそう期待してる。

だけどその後どうなったかぐらい、連絡ぐらいしてくれればいいのに。一応は、相談に乗ってあげていたのだし。


「……」


まあ、だけど。あのときのデンちゃんの顔って引きつってたし、きっと相当怒っていたと思う。


はあ。


そして携帯を手に取り履歴を確認すれば、ため息を隠せない。あんなふうにデンちゃんを送り出した手前、というか追い出した私から連絡するなんてできないし。


「——あ」

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