ガラクタ♂♀狂想曲
「あのォ、デンちゃん?」
全てデンちゃんが仕組んだってこと? それに私がまんまと乗せられた?
だけどこんなこと、一体なんの意味が。
「———もしあれが俺の手元に戻ってくることがあったら、ショコちゃんに会うきっかけにもなるんじゃないかって思ってたから、ラッキー」
軽い口調でそう言ったデンちゃんは一気にビールを飲み干した。つられて私もビールに口をつける。
頭を一旦リセットしないと。
「ミズタ、ハヤト。"すいでん"で、水田。"ハヤブサのヒト"で隼人。あと薩摩のあれね。わかる?」
とりあえず数回頷き、それに応えた私。
「——わ、私は津川祥子。津川のツは三重の県庁所在地で、川は難しくないほう。祥子はカタカナのネに羊で——」
ていうか、いまさら自己紹介? なんだかおかしくて、思わず吹きだしてしまう。
「ショコちゃん」
するとデンちゃんが真面目な声でそう言った。
顔を上げれば、すぐ近くにデンちゃんが。
「抱っこ」
「——だめ」
だってやっぱり香水の匂いが気になる。それは一瞬で魔法を解いてしまう。