ガラクタ♂♀狂想曲
「——大事」
そうぼそりと呟き、頭をもたげて私を覗き込んできた。
今度は私が思わずため息。なんか、どっと力が抜けた。
「なに大事って」
「いま、その答えが浮かんだから」
しゅんと、どこか拗ねるように眉を寄せ唇を結ぶ。
「私は大事にされてる気なんてこれっぽちも…、ていうか全然ないけど?それでもそうなの?」
「だけど大事で、すごく会いたくなった」
ダメだ。ほんと力が抜ける。
「——じゃあ瑠美は?」
するとふたたび少しの時間が流れ、ただ見つめあった私たち。ふと、口を開くデンちゃん。
「瑠美も大事」
「あっそ」
天然という人がもしいるとするなら、それはデンちゃんであってほしい。何の計算もなく、ただのバカ。
だけどホストが?
「私は瑠美が嫌い。瑠美のこと好きなデンちゃんも嫌い。だけどそんなデンちゃんが好きになって…、だからこんなふうに変な男ばかり好きになる自分が、ほんとすっごい嫌い」
「ショコちゃん」
私の頭を撫でたデンちゃん。
そっと唇を寄せ、頭に口づけてきた。