ガラクタ♂♀狂想曲

「——俺、帰らない」


するとデンちゃんはそう言って、ポスンと枕に小さい頭を押し付けた。


「帰らないからね」

「……」


思わず黙り込んだ私。そのまま放心して、デンちゃんをただ眺めてしまった。


「ショコちゃん、ほら」


そしてデンちゃんはポンポンと布団を叩き、ちょいちょい手招く。


「もっとこっち来て」


私の首へ手を回し、頭を抱え込むように自分の胸へ抱き寄せた。
また窮屈な腕枕。


「……デンちゃん。意味わかってる?」

「わかってる」

「だったら…」


どうして、こんなことを。
なんだか胸がぎゅうって音を立て、それから急にドキドキ、息が苦しくて——。


「デンちゃん」

「んー」


少し間延びをした、緊張感のない返事。
それがデンちゃんで。だけど、その腕に力がこもった。


「——離して」

「いや」


私の呼吸がだんだん震えてくる。
瞼が急に重くなった。


「瑠美は、どうするの」


すると何も言わないデンちゃん。


「離してよ」


だけどピクリとも動かないどころか、さらに力を込めてきた。
 
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