ガラクタ♂♀狂想曲
「ない?」
「——ある…っ」
「なに」
そして私の顔を覗き込み、おでこを合わせてきたデンちゃん。
「デートしたい」
「うん、しよう」
「友だちとかにも会わせたいし、デンちゃんの友だちにも会ってみたい」
「わかった」
「————子どもじみてると、笑わないの?」
するとデンちゃんは私の肩を抱き、トントンと背中をさする。
「いままだコンビニにある俺のあっちの携帯は、ショコちゃん専用。ショコちゃんの名前しか入ってない」
「うそ」
「信じられない?」
「……」
だって名刺に書いてあった電話番号だし。
「なんなら、いまからコンビニに取りに行く? 一緒に」
「———他のは消したんでしょ」
「名刺作ってくれるっていうから、記念に新しい携帯作って。だけどその名刺渡したのって、じつはショコちゃんだけ」
「ほんとに?」
「うん」
「うそなんでしょ?」
「ほんと」
そしてデンちゃんは私から身を離し、ふっと微笑んだ。