ガラクタ♂♀狂想曲
「じつは俺、声かける前からショコちゃんのこと知ってた。いつもつまんなそうに歩いてたから」
「ほんと?」
「名前までは知らなかったけど。あと店とかも」
そう言って、私の頭をよしよしするように撫でる。
「見るからにキャバ嬢なのに、ショコちゃんなんかあそこに全然馴染んでなくて、かなり浮いてたし」
年下のくせに、生意気で。
瑠美に振り回されているくせに。
だけど、やっぱり好き。
「あの日はすっきりした顔してたから焦って声かけた」
「——そうなの?」
「ほらショコちゃん」
そしてデンちゃんの腕へ誘われるかのように抱き寄せられた。私はふたたびその胸へ。
「腕枕、私嫌いなのに」
「知ってる。だけど俺が好きだから」
「……」
私の負け。惚れてしまった私の。
だけど、こんなことを続けていたら、クズ人生から抜け出せない予感が……。