ガラクタ♂♀狂想曲

「じつは俺、声かける前からショコちゃんのこと知ってた。いつもつまんなそうに歩いてたから」

「ほんと?」

「名前までは知らなかったけど。あと店とかも」


そう言って、私の頭をよしよしするように撫でる。


「見るからにキャバ嬢なのに、ショコちゃんなんかあそこに全然馴染んでなくて、かなり浮いてたし」


年下のくせに、生意気で。
瑠美に振り回されているくせに。
だけど、やっぱり好き。


「あの日はすっきりした顔してたから焦って声かけた」

「——そうなの?」

「ほらショコちゃん」


そしてデンちゃんの腕へ誘われるかのように抱き寄せられた。私はふたたびその胸へ。


「腕枕、私嫌いなのに」

「知ってる。だけど俺が好きだから」

「……」


私の負け。惚れてしまった私の。
だけど、こんなことを続けていたら、クズ人生から抜け出せない予感が……。

< 86 / 333 >

この作品をシェア

pagetop