ガラクタ♂♀狂想曲
「かなりの優等生だから、俺」
目をくりくり丸くしたデンちゃんは、マフラーに口を埋めた。
レポートをやっている姿からの想像でしかないけれど、優等生かどうかはさて置き、きっちりしているとは思っている。だから一体なんのことだろうと、不思議に思っていたら——、
——―驚いた。
なにをするって訳でもなく、ただの飲み会がはじまり、デンちゃんは安藤くんという人とよく絡んでいた。だけどデンちゃんは、友だちの前だと笑顔が引っ込んでいる。それは機嫌が悪いとか、仲良くないとかではなくて。
「祥子さんで、いいんだよね?」
私たちが年上だということもあり、敬語とタメ口がごちゃごちゃと飛び交うテーブル。私とデンちゃんは並んで座っていて、目の前に座る安藤くんが声を掛けてきた。
「まさかの水田!!て、みんな驚いてて。こいつが女の子紹介してくれるとは。ねえ、祥子さん水田といて楽しい?」
「へ?」
「かなり無口でしょ?」
「——あ、あ〜〜」
一瞬、誰の話をしているのかわからなくなって曖昧な返事で濁すと、隣に座っているデンちゃんがわかりにくいほど小さく小突いてきた。
「水田ってキャーキャー寄ってくる女にガン飛ばして酷いこというし、女に興味ないとばっかり思ってたからさ」
そうなの?
「おら安藤。勝手に吹き込むなよ」
「お、喋った。ちゃんと口あんじゃん」
「うるさいなー」
会話には参加してるけど、少しめんどくさそうで笑える。
しかもホストのクセに私の友だちにすら、ほとんどと言っていいほど愛想を振りまかない。だけどなんかそれをみんな普通に受け入れているし、きっとこれがみんなの前でのデンちゃんなんだろう。