ガラクタ♂♀狂想曲

「——ね」


デンちゃんの裾をつんと引っ張った。


「ちょっと」


ちょいちょい手招きすると私の口元まで、すっと頭を下げてくるデンちゃん。目の前に小さい頭。髪の毛が細くてキラキラ——


「なに?」


思わず見惚れてしまっていると、そのままの体勢でちらりと私を見上げてくる。


「ああ、うん。デンちゃんの友だちなんでしょ?」

「そうだけど」


そういったデンちゃんは何かの合図のように、こっそり口を横に結んで片眉をほんの少し上げる。不思議に思った私は首を傾げた。

すると顔を上げたデンちゃんが、今度は私の耳元に口を寄せ、こっそり声を落としてこういった。


「俺の、外キャラ」

「———は?」

「だからショコちゃん、内緒ね」


そんなことをして、一体何の意味が。ちょっと意味が分かりません。


「ぷはは」

「————なに」

「ううん」

「なんだよ」

「べつに」

「ヘンなの」


ニヤけてしてしまう。ヘンなのはデンちゃんじゃん。
だけど違った一面が見れて、単に嬉しい。


「こら、そこイチャイチャしない〜〜」


私の友だちの純奈からオシボリが飛んできた。

さっきトイレで話したところ、みんなわりと乗り気で「でかした」と太鼓判まで押してくれたおかげで、少し気が楽になっている私。

それからなんだかんだ楽しい飲み会が続き、連絡先を交換し合ったり。帰り際、またガールズトークしようと約束をし、お開きになる。

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