ガラクタ♂♀狂想曲

そして帰り道は、ほろ酔い気分。足取りも軽く、繋いだ手を大きく振りながら歩いた。


「人見知りぃ?」

「そだよ」

「デンちゃんが?」


お酒を飲むと、みんなの前でも私の前で見せる顔を、ちらほら見せてくれるようになったデンちゃん。


「そ。俺は基本人見知り」

「あれって、人見知りに入る〜?」

「その部類でしょ?」

「ええぇー…」


するとデンちゃんは、さっきまでは見せなかった懐っこい顔で笑い、キュッと口を横に結んだ。


「だけどさ、それなのにホストやってるの?」

「だからホスト?」


ふうん。


「なんかヘンなの。じゃあホストしてるデンちゃんは、どんなの?」

「べつに普通」


そして私の頭へ手を置いたデンちゃん。


「デンちゃんの普通って、どんなのかわからないし。まさかオラオラ営業とか?」

「普通って言ったら普通。いいじゃんべつに」


そういえばデンちゃんのホスト話って、これまであまり聞いたことがなかった。友だちも知らないみたいだったし。

謎がたくさんあるデンちゃん。


「——見に、行こうかな」

「来なくていい」

「なんで」

「来なくていいからね」


私の頬を両方の手でサンドイッチのように挟んだデンちゃん。口がヒヨコみたいになるまで、むにむに押してくる。


「返事は?」

「——わかったよ」

< 92 / 333 >

この作品をシェア

pagetop