ガラクタ♂♀狂想曲
そして帰り道は、ほろ酔い気分。足取りも軽く、繋いだ手を大きく振りながら歩いた。
「人見知りぃ?」
「そだよ」
「デンちゃんが?」
お酒を飲むと、みんなの前でも私の前で見せる顔を、ちらほら見せてくれるようになったデンちゃん。
「そ。俺は基本人見知り」
「あれって、人見知りに入る〜?」
「その部類でしょ?」
「ええぇー…」
するとデンちゃんは、さっきまでは見せなかった懐っこい顔で笑い、キュッと口を横に結んだ。
「だけどさ、それなのにホストやってるの?」
「だからホスト?」
ふうん。
「なんかヘンなの。じゃあホストしてるデンちゃんは、どんなの?」
「べつに普通」
そして私の頭へ手を置いたデンちゃん。
「デンちゃんの普通って、どんなのかわからないし。まさかオラオラ営業とか?」
「普通って言ったら普通。いいじゃんべつに」
そういえばデンちゃんのホスト話って、これまであまり聞いたことがなかった。友だちも知らないみたいだったし。
謎がたくさんあるデンちゃん。
「——見に、行こうかな」
「来なくていい」
「なんで」
「来なくていいからね」
私の頬を両方の手でサンドイッチのように挟んだデンちゃん。口がヒヨコみたいになるまで、むにむに押してくる。
「返事は?」
「——わかったよ」