ガラクタ♂♀狂想曲
「それじゃあショコちゃん。うち帰ったら、人工呼吸の練習しよ」
「しないよ」
「しよう!」
「しないって」
なんだろう。デンちゃんの、触れられたくないことって。
「だけどショコちゃんは俺と一緒にお風呂へ入る」
「……ヘンなの」
そして家に着き、早速手馴れた感じでスイッチを押し、お風呂に湯を溜めはじめたたデンちゃん。10分もすればお知らせの合図がピピッと数回鳴った。
「ほらショコちゃん、溜まった」
「うん」
「早く入ろ」
私の腕を掴み立たせようとするデンちゃんに、上着を逃がされる。
「ほらショコちゃん早く」
「自分で脱ぐからー、溺れないでよ」
「寒いから早く〜」
先に裸になっていたデンちゃんの唇が、なんだか少し渇き気味で見るからに寒そう。バスルームからはもくもくと湯気が立ち上っていた。
と、そんなとき。
「———あ、待って!デンちゃん携帯鳴ってる」
「いいよー、あとで」
私が手にした携帯へ目を落としたデンちゃんは、不服そうに少し眉を寄せ、ぷうっと頬を膨らませた。私もそれにつられ、視線を落とす。
《山下 瑠美》