ガラクタ♂♀狂想曲
「瑠美だけど?」
「——いいよ、あとで」
「出て」
すると私から、視線を外してしまったデンちゃん。
「デンちゃん?」
「あとで掛けなおすから」
「いま出て」
「……」
そしてデンちゃんはくいっと視線だけを上げ、私を見た。
「わーかったよ」
少し不貞腐れたように私の手から携帯を取ったデンちゃん。
「もしもし」
ちらっとこっちを向いた。ふたりして素っ裸で立ち尽くして、ひとりは電話中だなんて。ヘンな光景。
「こんな時間にどうした?」
はあ、とこっそり溜息。目の前でデンちゃんのこんな台詞聞くぐらいなら、こんなにモヤモヤするぐらいなら、やっぱり出さなければよかったかも。
だけどデンちゃんは、あれから全然瑠美の話をしなくなったし。
前みたいにたくさん聞くのもイヤだけど、なにも話してくれないのも…、イヤ。だって会ってるはずなのに。
「ああ、うん」
だからと言って、私から聞くのもイヤ。我儘かしら。
聞いたほうがいいのかな。
「わかった」