ガラクタ♂♀狂想曲
幸せないまが、これから先ずっと続くわけがないと、どこかで思っている。いつか終わるんだろうなって。それなら、もう少し続けたい。そうするためには、やっぱり瑠美のことを見て見ぬふりすれば——、
「——いまどこ」
無視すればよかったのか。どうすればよかったのだろう。
「そこで待ってて」
そういって眉を寄せたデンちゃんは、ほんの少し険しい顔をしていた。なにかあったんだろうなと思う。
「デンちゃん」
「……ごめんショコちゃん」
「お風呂どうする?」
「ごめん」
「————謝ってないで、さっさと行って」
空気が止まった。
だけど素っ裸だったデンちゃんの間抜けなくしゃみでハッと我に返ったかのように動き出す。
そしてついさっき脱いだ服を身にまとっていくデンちゃんを背中にバスルームの扉を閉めた私。
「じゃあ、行ってくる」
ドア越しから遠慮がちなデンちゃんの声が聞こえた。言い訳も何もしないデンちゃん。
「うん」
どうしよう。本当に行っちゃった。
帰ってくるのかしら。
デンちゃん聞けばよかったかな。それより、行かせてもよかったの私?
だけど結婚しているわけじゃないんだし、あれからずっと私のところにいてくれたんだし…。
デンちゃん。
不思議と涙は出なかった。ただ頭がボーっと放心状態なだけで。