ガラクタ♂♀狂想曲
割れモノ
デンちゃん。
私、やっぱり——…
行かないでって言えばよかった。
「………ごめん、起こしちゃった」
あれ?
私の頬を撫でる気配で目覚めれば、デンちゃんがそこにいた。
「———いま何時?」
「4時過ぎ」
デンちゃんが帰ってきたのは明け方。だけど私の神経ってどうかしてるかも。だって絶対あのまま寝れないと思っていたのに、布団に包まったらちゃんと寝れていた。
「おかえり」
「ただいま」
そしてそのままなにも言わず、ただ私の頬を撫でるデンちゃん。薄暗い中、デンちゃんの顔がぼんやりと浮かぶ。
「私、泣いてる?」
「——泣いてない」
「そっか」
「うん」
だって泣くほどのことじゃない気がするし、だけど泣いてたほうがデンちゃん罪悪感持ってくれたかな。
「いつまでそうしてるの?」
ベッドサイドへ座り込み、ずっと私の顔を覗き込みながら頬を撫でるデンちゃん。
「デンちゃん?」
「————ショコちゃんが…、いい夢見るまで」
そうぼそりと呟いた。
「……バカじゃない?」