真っ白なキャンバス(仮)

『…あ、海斗?』

恭平の事を考えていたら、奇跡的なタイミングで彼から電話がきた。

『海斗、今から女連れてってもいい?』
「はぁ!?」

女って…?
俺はスマホを片手に首を傾げた。
俺の隣にいた綾乃もスマホに耳を近づける。

「恭平どーゆうこ…」
『さっき女の子助けたんだけど、ちょっと怪我してて』
「ええっ?」
『だから海斗の家でちょっと手当てしてあげようかと』
「それ困るよ。病院行ったほうがいいだろうし」
『そこまでの怪我じゃねーんだよ。とりあえず行くから!』
「ええっ?ちょ…!!」

わけが分からないまま電話を切られ、呆然とする俺。

「恭平何だって?」
「女の子連れてくるって」
「はぁ?女!?」
「そう言ってた」
「恭平は何考えてるの!綾乃っていう女がいるのに!!」
「そういうのじゃなさそうだったけど…」
「来ても絶対に入れない!!」

鼻息荒くそう意気込む綾乃。
俺は呆れながらも綾乃を見つめた。

「綾乃と恭平って…」
「ん?」
「2人ってさ、どういう関係なの?」

初めて2人を見た時から気になっていた。
綾乃と恭平は付き合ってるんだろうか?
綾乃が一方的にくっ付いてるようにも見えるけど…
恭平もまんざらでもないような気もする

「綾乃と恭平の関係?見た通りだけど?」
「見て分かんないから聞いてる」
「ラブラブだよ」
「…何か嘘くさい」

俺の言葉に綾乃はプクッと頬を膨らませた。

「どーせ綾乃の片思いだもん!」
「そう」
「ホッとした?」
「え?」
「綾乃と恭平が付き合ってないって分かって」
「別に」

ジリジリと近づいてくる綾乃に俺は後ずさりした。

「だ~ってさ、海斗も綾乃に惚れてる1人でしょっ?」
「……」

こういうことを平気で言うのが綾乃。
世の中の男が全員、自分のことを好きだと思ってるんだろうか?
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