真っ白なキャンバス(仮)
「綾乃の周りにいるような男と一緒にしないで」
俺はクールにそう言って窓を全開にした。
「ほんと可愛くないね海斗」
「俺、綾乃だけじゃなくて女の子には興味ないから」
「…」
しばらくの沈黙の後、綾乃は何かを思いついたように俺のほうをジッと見つめた。
「女が好きじゃないって…。もしかしてそっち系!?」
「は?そうじゃなくてー」
「実は少し前から怪しいと思ってたんだよね。…あぁ!!」
「!?」
今後は急に大声を出した綾乃。
「もしかして恭平狙い!?」
「は?」
真顔で俺の顔を覗き込む綾乃。
「意外な所に強敵がいたわ…」
「…」
綾乃のペースに乱されっぱなしの俺。
何かを言い返す気にもなれない。
フーッとため息をついたところでちょうど玄関のベルが鳴る。
「恭平かな?」
綾乃が玄関へと向かう。
俺も慌ててその後ろを付いていき玄関のドアを開けた。
「おー、海斗!!」
そこには笑顔の恭平が立っていた。
「恭平。女の子助けたって…」
「ああ?そうそう、この子」
「…え、のぞみ!?」
恭平の後ろにいた女子高生の顔を見て、俺は思わず声を上げた。
だって
それは自分の妹、"望"だったんだからー…。