牡丹町の先生
その後すぐお父さん達は再婚した。
知らない女が、形上私のお母さんになった。
慣れないし、慣れたくないし、許せなかった。
味付けの濃い味噌汁とか、掃除が苦手な所とか、笑い声が大きい所とか
小さい事にいちいちイライラして、でもそれを顔に出した事はなくて。
愛想笑いで毎日話しを合わせて、一度も空気を悪くした事は無いけれど、
一度も女と目を合わせた事も無かった。
再婚して2年が経った頃、2人の間に子供が出来た。
正直、気持ち悪いと思った。
全然祝福する気持ちになんてなれなかったのに、私はまた笑顔で「おめでとう」と言った。
これで私の居場所は完全に無くなるんだなぁとふと思って、一瞬悲しくもなったけど
あ、居場所なんてとっくに無かったじゃんってすぐ開き直った。
中学を卒業して、全寮制の高校に進学した。
友達もたくさん出来てそれなりに青春っぽい事もして
でも、自分の話をした事は無かった。
話したいって思った事も無かったし、そもそも聞かれる事も嫌だった。