お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~
『お前、おかしいよ。』
『なんでそんな毎日引きこもって笑ってられるんだよ。』
『もっと焦ろよ。現実を見ろよ。これからどうするつもりなんだよ。』
言われなくてもわかっている。
毎日真面目に働くことが“普通の社会人”の基準ならば、わたしはそこからはずれているのだろう。
だからと言って、“おかしい”扱いされることは、納得がいかない。
卑屈になっているのかもしれない。
たまに行く美容院やマッサージ店で
「お仕事お休みですか」
「何のお仕事されてるんですか」
と聞かれることがあると、特にそう思う。
聞いているスタッフたちは、まさか嫌な思いをさせているとは思っていないだろう。
単純に、コミュニケーションのきっかけとして聞いているだけということはこちらもわかっているが、“普通に”働いていないことに対して、誰よりも自分自身が一番敏感になっている。
自分の生活を恥じてはいないが、大きな声で人に言えるものでもない。
わたしだって、出来ることなら“普通の社会人”のように、真面目に毎日働きたいよ。
でも無理だったんだ。10年間も。
どうすればいいっての?
気分的には人生リタイアなう、だ。
リタイアと言っても後ろ向きな意味ではない。
人生を諦めたのでもない。
いわば、“隠居生活”だ。
慎ましくも、楽しく生きよう。
せっかく仕事に縛られない暮らしなのだから、やりたいことをやればいい。
確かに先は見えない。明日のことはわからない。
それでも、自分の責任でこの生活を繰り返している。
何事も前向きに考えよう。
そう言い聞かせて、現在に至る。