お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~
防水スピーカーを風呂場にセットし、音楽を流した。
気分が明るくなるアイドルソングでもかけないとシャワーを浴びるやる気が出ないので、いつもそうしている。
一度お湯を浴びてしまいさえすれば諦めがつくというか、スッキリするし気持ちいいのだが、なんといっても髪を洗って乾かすのが面倒くさい。
あと何年か経って完全に女を捨てる決心がついたら坊主頭にしようと思うほどだ。

彼氏と一緒に住んでいた頃は、不潔に思われるのが嫌でしぶしぶ髪を洗っていた。
しかし引っ越して独りで暮らし始めてからは、誰かに会う約束をしている日の前日に洗うのがルーチンになっている。
さすがにかゆくて我慢ができなくなってきたら予定がなくても洗うが、昼過ぎまで寝て、外出せずに家でごろごろしながら過ごし、明け方近くなって寝る毎日なら5日6日洗わなくても全然大丈夫。
平安時代の貴族の女性が月に1~2回程度しか髪を洗っていなかったことを思えば、むしろ洗っている方だろう。

明日の予定は、可燃ごみを出すことのみ。
せっかく外に出るのだから、ついでにどこかで朝ごはんを買うのもいいな。久しぶりに朝マッツにでもしようか。
店員とは顔を合わすことになるが、どうせ知らない人だし、なんと思われようと問題ない。



< 15 / 51 >

この作品をシェア

pagetop