お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~
できることなら、知らぬ存ぜぬで他人のフリをしたかったが、間違いなく上の部屋に入ろうとしているところで声を掛けられたのだ。言い逃れはできない。

そうか。
そのために声を掛けるのを待っていたのかもしれない。

やられた…!
さすがインテリメガネ、頭いいな…!



「すみません、ご迷惑おかけして…。」

腹の内は色々まざってこんがらがっていたが、素直に謝った。
誰に話しても、わたしが100%悪いと言われるだろう。
それなのに逆ギレするなんて、みっともなさすぎる。
さっさと謝って、立ち去ろう。
朝マッツが冷めちゃうし。

男性はというと、どんな厄介な相手かと身構えていたのだろうか。
こちらがあまりにもあっさり認めて謝ったのが拍子抜けだったようだ。
「はぁ」とは言っていたが、本当はもっと色々言ってやりたいという様子が見て取れた。

しかしながら、こちらはこのまま会話を続けたくはない。
一刻も早く会話を終わらせて、この場を去りたいのだ。

さようなら、インテリメガネ。
迷惑かけて、すまんかった。


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