お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~
逃げるように立ち去り、鍵を閉めた。


は、はは、
ははははは、

恥ずかしい。


対面した時間は一瞬に思えた。
実際のところも、呼び止められてから立ち去るまで、たった数秒という短い時間だったと思うが。

ひとりになってその数秒を思い出していると、色んな感情が無作為に沸いてくる。


ついに下の階の人がわかった。話した。
インテリメガネだった。
イライラしていた。
イライラさせたのはわたし…?
なんか冷たかった。
注意をするにしても、もうちょっと言い方はなかったのか?
無表情、無感情はひどい。
やっぱり怒っていたのだろうか。
初めて交わす会話がこれだなんて。
こちらは聞こえていると思っていなかったんだから、しょうがないじゃないか。
夜中眠れなかっただろうか。
申し訳ない。
恥ずかしい。
いい年して叱られて情けない。



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