お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~
気配を消しつつ鍋を拾い集めながら、洗濯物を干していた彼の姿を思い出す。

あの人から、こんなガラの悪い声が出るのか…。
確かにイライラしていて怖そうだとは思ったけれど、こんな風に怒鳴られるとは思っていなかった。

確かにわたしは悪い。
深夜に起きていて、こんな大きな音をたてたのだから。

でもわざとじゃないし。
嫌がらせでやってるわけじゃなくて、普通に生活していて仕方なく出てしまう音なのに、文句言われてもなぁ。
それともなにかい?
夜型人間は生きてちゃダメってぇのかい?

そんなに騒音にイライラするなら、こんな音の響きやすい木造のボロアパートじゃなくて、防音設備の整った部屋を借りればいいじゃないか。

なんだかこちらもイライラしてきた。
縄跳びでもして、下の階にだけわかるようにうるさくしてやろうか。

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