例えば危ない橋だったとして
わたしはとりあえずそのプランを家へ持ち帰り、リビングで家族共用のPCのブラウザをスクロールしていた。
違う。これも違う。
次々と画面を開いては、戻るボタンをクリックする。
「何が良いかわからない……!」
思わず声を上げて悶絶した後、テーブルの上で項垂れる。
何てことはない、ただクリスマスプレゼントを贈ろうと思い付いただけの話なのだが、これがどうして難しい。
やっぱり無難に消え物かな?
黒澤くんはコーヒーが好きだから……でも、お歳暮みたいで何か嫌だ。
暮れのご挨拶……違う!
甘い物はあまり食べている印象が無いし……。
身に付ける物……今この関係性で、ありなの?
この関係とは、どんな関係なのかも、疑問だ。
ネクタイ、手袋、マフラー……思い浮かべた品は、どれもこれも重いような気がした。
靴下……良くも悪くも無難。
「何やってるの?」
ああでもない、こうでもないと、思案している内に、身振り手振りが付いていたらしく、お母さんに突っ込まれてしまった。
PCの画面を覗き込んだお母さんは、面白そうににやりとした。
「ははぁ~ん。男の子へのプレゼントね!? もう次の人!?」
「……同じ人だよ」
わたしは唇を尖らせ、お母さんを恨みがましく見上げた。
「あら、そうなの?……それにしては、ずいぶん控えめな物探してるのね。朝帰りまでした仲だってのに」
わたしは啜っていた紅茶を吹き出しそうになった。
口元を拭いながら、視線を落とす。
「……今は、片想いだから」