例えば危ない橋だったとして

我社の年末年始の休暇は、年末3日、年始3日である。

「次に会えるのは1月4日か……」

休暇1日目、ベッドに仰向けに寝そべり、右手で照明を遮りながらつぶやいた。
1日目はとりあえず、今更年賀状を書きながら過ごした。
黒澤くんの住所は知らない。

6日間も家族と過ごす予定しかないなんて寂し過ぎる人なので、地元の友人と初詣に行く約束を取り付けた。
それ以外は大掃除をして、年が明けると親戚と墓参りに行き、何てことはない普遍的な年末年始を送った。
もちろん黒澤くんから連絡はなく、わたしからも連絡しなかった。


年始最初の出社日を迎えた。
やっと会えると心弾ませ、いつもより早く到着したが、黒澤くんの姿は見えなかった。
いつもわたしより早く来ているのに……周囲を見回していると、電話を受けていた課長が声を上げた。

「えぇっ!?」

何事かと心臓が飛び上がる。

「そうか……大変だったね。多少話には聞いていたが……。それじゃあ……場所と時間と、お名前を教えて貰えるか」

皆が課長に注目している。
この会話の内容はまさか……。

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