例えば危ない橋だったとして
わたしはその言葉が引っ掛かって、黒澤くんと目を合わせた。
「……わたし、黒澤くんの外見が好きなんじゃないからね!? 黒澤くんの良い所いっぱい知ってる……」
まくし立てながら、また涙が溢れた。
黒澤くんが、その涙を舐め取った。
ぴくんと身体が反応する。
「知ってるよ」
優しく微笑んで、唇を重ねた。
次第に、舌先で触れ合う艶かしいキスへと変化する。
太ももに、硬い感触を把握した。
唇が離れた隙に尋ねる。
「あの……黒澤くん?」
「名前で呼んで。一千果」
唐突に名前を呼んだ真っ直ぐな眼差しに、急速に胸が高鳴る。
「……皐」
「もっかいしよ」
名前を呼ぶだけで真っ赤に頬が紅潮してしまったわたしに、彼は衝撃の返答をした。
「今から……!?」
「うん。そんで朝起きたらもっかいする」
「……元気だね……」
呆気に取られたような声を出しながらもわたしは、皐の甘えてくれている雰囲気が、とても嬉しかった。