例えば危ない橋だったとして

気を張って集中するよう努め、水曜日を迎えた。
周囲にも悟られないよう、常に笑顔を心掛けた。
あの後は今のところ、ミスは出していないようだ。


昼休みに入った。
買って来ていたコンビニの親子丼を食べ終わり、廊下へと繋がるドアを開けると、皐が立っていた。

「どうぞどうぞ」

中へ入るのだろうと思い手振りして促したが、動く気配はない。

「ちょっと」

頭に疑問を浮かべていると、外へと手招きする。


資料室の前に移動した。ここなら幾らかは人目も避けられる。

「どうかしたの?」
「……いや……お前が、どうかしたかと思って」

鼓動が速まり始める。
見透かされてた? わたし、やっぱり隠すの下手だなー……心で感じつつも、笑顔を返した。

「大丈夫だよ?」
「……俺が何かした?」

「違う! 皐は全く関係無い。……わたしの問題だから」
「……そう」

納得してくれたと思い、胸を撫で下ろした。

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