例えば危ない橋だったとして

耐え切れず話題を移した。

「えっと……そっちの天気は? スノボ楽しかった?」
『うん、良い天気で、あいつらとも久々だったし楽しかった。一千果は、今日は何してたの?』

「こないだ買った小説読んでた。それで……」

躊躇いながらも、大丈夫、と心の中で言い聞かせ口にする。

「さ、皐のこと考えてた……」
『俺も、一千果のこと考えてたよ。……会いたい』

こんなに甘くて幸せで、良いのかな?
頭がくらくらしそうな、ふたりだけの時間。

「……じゃあ、また月曜日にね。明日も楽しんでね」
『うん、一千果も』

しばし甘ったるい会話を楽しんだ後、電話を切った。
面と向かって話すのとはまた違う、高揚感に包まれていた。

「また好きになっちゃう……」

枕を抱き締め、ひとりごちた。

こんな幸せが、ずっと続いたら良いのに。
頭を掠め、眠りに落ちた。

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