例えば危ない橋だったとして
築かれる家族
遂にこの日がやって来た。
皐がわたしの家へ訪れる日。
最寄駅まで迎えに行き、改札の前で待っていると、皐が現れた。
ストライプのシャツにカーディガン、厚手のジャケットを羽織り、綺麗めに決めていた。
スーツとは一味違った、カジュアル感と清潔感が有り、格好良い。
全く心配していなかったが、さすが完璧星人、わきまえている。
家までの道程、皐は言葉少なだ。
「もしかして、緊張してる?」
「そりゃな……するだろ、普通」
「大丈夫、うちの親フランクな感じだと思うよ。会ってみたいってだけだから、あんまり堅苦しく考えないで」
皐の緊張をほぐそうと笑顔を向けたが、効いたのかは疑問だ。
しかし、玄関を開けた瞬間、皐の顔が凛とした表情に変わった。
出迎えたお母さんに爽やかな笑顔を返す。
「はじめまして、黒澤皐と申します」
「まぁ、よく来て下さいました。上がって上がって」
持っていた紙袋から包装された箱を取り出し、お母さんに手渡す。
「お口に合うと良いのですが……」
「あら、わざわざありがとうございます」