例えば危ない橋だったとして

言われるがままに腰掛けると、不意に目の前でキラッと輝きが放たれた。
よく見ると、細い鎖が首の前に通されている。
皐が器用に髪を避けながら、金具を止めた。

「はい、出来た」
「えっ……えっ?」

「うん、思った通り。似合うよ」

上から覗き込んで、満足気に微笑む。
華奢なネックレスがわたしの首元で光っている。

「なんで? 皐もバレンタイン?」
「ていうか……これは、ウイスキーのお返し」

「え!? そんな……あのウイスキー安物だよ? これ高そう……」
「そんなことないよ、値段の割に綺麗だったから」

戸惑ってしまったが、これ以上遠慮しても失礼だと、皐の想いを受け取った。

「……あ……ありがとう。……すごく嬉しい」

こんなロマンチックなサプライズをして貰ったのは初めてで、うろたえながらも本当は舞い上がっている。

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