例えば危ない橋だったとして

わたしは皐の反応に違和感を持った。どうしたんだろう……何か様子がおかしい気がする。
頭を掠めつつも作業を続けていると、昼休みを告げる鐘が響いた。

立ち上がった皐が、出し抜けに上体を屈めたかと思うと、わたしに耳打ちをした。

「来て」

……何処へ?
足早に出て行った皐の後を追い掛け廊下に出ると、資料室へ入って行く姿が見えた。
何か内密に急ぎの話でも?
疑問を浮かべながらも資料室に足を踏み入れた。

瞬時に腕を引っ張られ、皐の反対側の手はドアの鍵を閉めた。
驚いている隙に、壁際に詰め寄られ顔の横に腕が突き立てられる。
目を見張ると、もう皐の唇がわたしの唇に重ねられていた。

「んっ……」

荒々しいキス。
舌が纏わり付いて来て、頭に電気が走るような感覚に囚われる。
息もつかせぬ程の長くいやらしい口づけ……。

皐の手がわたしの鎖骨に触れた。
そのままVネックのニットの中へ手が滑り込む。

「ふぁ……っ」
「声抑えて」

短く囁き、また唇が重なる。
もう一方の手が、太ももの内側を這いスカートの中へ潜り込んだ。

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