例えば危ない橋だったとして
そして少し俯き、黙った。
……わたしまた、まずいことを口走って……!?
ぎくりと冷や汗をかきながら、恐る恐る黒澤くんの顔を覗き込んだ。
「黒澤くん……?」
その表情は、険しく眉間を寄せていたが、少し頬を染めているように見受けられた。
あれっ……照れてる!?
「なんで榊ってそう……」
掠れるようなか細い声で漏らした言葉は、たぶん聞き間違いじゃない。
ゆっくりと顔を上げた黒澤くんの瞳は揺れているようだった。
また、その目……切なそうな表情に、吸い込まれそうだ。
黒澤くんは右腕を上げ、わたしの後ろのファイルに軽く指を突いた。
わたしをじっと見つめるその顔が、段々近付いて来た気がする。
見つめ合うこと5秒、10秒……わたしの頬も火照って来たように感じる。
耐え切れず瞼をきつく瞑り、声を上げた。