例えば危ない橋だったとして
秘密と変化
黒澤くんときちんと付き合う覚悟。
と思ってはみたものの……いざとなると怖気付く。
わたし達は、夜の海沿いを二人で歩いていた。
指を絡ませ繋いだ手は、固く握られている。
これから、何処へ向かうんだろう?
黒澤くんは「そろそろ行こうか」と言って歩き始めた。
もしかしてもしかしたら……。
ホ、ホテルとかいうことも有り得るんじゃ……。
わたしは自分の妄想に、恥ずかしいやら恐ろしいやらで、顔が引きつった。
どう考えても今すぐは無理だ。
申し訳ないけど、今日は帰らせて貰おう。
「く……」
「榊」
顔を上げて話し掛けようとしたわたしの言葉を遮り、黒澤くんが口を開いた。
そしてわたしをじっと見下ろす。