例えば危ない橋だったとして
黒澤くんを、傷付けてしまった。
あんなに力になりたいと、強く考えたのに、真逆の結果。
力になるどころか、迷惑を掛けただけで、こんなことならもっと始めに突き放した方がましだった。
それならお互い、傷が浅くて済んだ。
大切なご家族の話もしてくれたのに……きっと、わたしに心を開いたから、話してくれたんだ。
そんな黒澤くんを裏切るような事態となってしまった。
わたしは、何て酷い女なんだろう。
せっかくの土曜日、部屋にこもってだらだらしていただけで、もう陽が傾き始めてしまった。
午後4時。外は寒そうだけれど、カーテンを開けると柔らかな陽射しが差し込む。
何もする気が起きない。今日は、好きな漫画も小説も読みたくないし、好きな雑貨屋へ買い物にも出掛けたくない。
やっぱり、こうなる。恋愛に振り回されて、自分を制御出来なくなる。
今日も1日をやり過ごす。
明日はどうなるんだろうか。明後日は……考え出すと、恐怖が頭をもたげてくる。
部屋の外からドアをノックする音が響いた。
扉が開き、お母さんが顔を出す。
「キャラメルプリン買って来たから、食べよ」