マザコン彼氏の事情
これって、栗原くんがわたしと二人で食べる事を想定して予約してくれていたって事よね?
もし真保ちゃんを誘わなかったら、テーブルで向かい合ってこの食事を楽しんだって事よね?
会社で、まだあまり仕事上の関わりも無くって、個人的な話もした事が無かったのに、どうしてわたしを好きになってくれたのかな。
モテキって、外見に自信が無くても、性格が特別良く無くても魔法がかかったように誰にでも訪れるものなのかな。
そうじゃなかったら、わたしがこんなにモテるはずがないもの。
ちょっと前までまったくモテなかったわたし。
天と地がひっくり返るような今年の夏。
平年より早めに始まった熱帯夜。
熱さにうなされ、恋の神様がハートの矢をいつもより多く解き放ってしまったのかもしれない。
「栗原くん」
「はい」
真保ちゃんの呼びかけに、視線をそちらに送る栗原くん。
「わたし、あなたの事が好きなの」
「えっ?」
真保ちゃん、ストレートに告白しちゃったよ。
どうなる?
この展開。
「栗原くんが、岡嶋さんの事が好きだって言うの、わかってる。でもね。わたしはあなたが好きなの」
「吉田さん……」
真保ちゃん、凄い。
わたしは酔った勢いで龍くんに告白しちゃったけど、素面だったらとても言えなかった。
ましてや、好きな人がいるってわかっている人に、こんなに堂々と告白なんか出来ないよ。
「ありがとうございます。嬉しいです。でも、俺は岡嶋さんの事が好きなんです」
「わかってる。でも、はっきり言っておきたかったの。後で後悔したくないから」
こんな時、わたしは何て言ったらいいんだろう。
言葉が見つからない。
何か言ったら誰かを傷つけてしまいそうで。
昔からそうだった。
ここぞという時に、的確な言葉が出て来ない。
そのうち時間は流れ、うやむやになってしまって終わり。
きっと怖くて逃げているんだと思う。
人を傷つけるのが嫌だといいながら、きっと自分が傷つくのが怖いんだ。
「岡嶋さん、どうかしましたか?」
「えっ?」
「何だか、思いつめちゃった顔をして」
「……ごめんね。わたしこういう時、何て言ったらいいのかわからない。栗原くんの事まだ良く知らないけど、良い人だって事はわかる。真保ちゃんも、会社に入って親しくなったのは最近だけど、入社してすぐから可愛い子だなと思って、付き合ううちにどんどん好きになってる。だから、二人とも幸せになって欲しいし、今までの関係を崩したくないの」
もし真保ちゃんを誘わなかったら、テーブルで向かい合ってこの食事を楽しんだって事よね?
会社で、まだあまり仕事上の関わりも無くって、個人的な話もした事が無かったのに、どうしてわたしを好きになってくれたのかな。
モテキって、外見に自信が無くても、性格が特別良く無くても魔法がかかったように誰にでも訪れるものなのかな。
そうじゃなかったら、わたしがこんなにモテるはずがないもの。
ちょっと前までまったくモテなかったわたし。
天と地がひっくり返るような今年の夏。
平年より早めに始まった熱帯夜。
熱さにうなされ、恋の神様がハートの矢をいつもより多く解き放ってしまったのかもしれない。
「栗原くん」
「はい」
真保ちゃんの呼びかけに、視線をそちらに送る栗原くん。
「わたし、あなたの事が好きなの」
「えっ?」
真保ちゃん、ストレートに告白しちゃったよ。
どうなる?
この展開。
「栗原くんが、岡嶋さんの事が好きだって言うの、わかってる。でもね。わたしはあなたが好きなの」
「吉田さん……」
真保ちゃん、凄い。
わたしは酔った勢いで龍くんに告白しちゃったけど、素面だったらとても言えなかった。
ましてや、好きな人がいるってわかっている人に、こんなに堂々と告白なんか出来ないよ。
「ありがとうございます。嬉しいです。でも、俺は岡嶋さんの事が好きなんです」
「わかってる。でも、はっきり言っておきたかったの。後で後悔したくないから」
こんな時、わたしは何て言ったらいいんだろう。
言葉が見つからない。
何か言ったら誰かを傷つけてしまいそうで。
昔からそうだった。
ここぞという時に、的確な言葉が出て来ない。
そのうち時間は流れ、うやむやになってしまって終わり。
きっと怖くて逃げているんだと思う。
人を傷つけるのが嫌だといいながら、きっと自分が傷つくのが怖いんだ。
「岡嶋さん、どうかしましたか?」
「えっ?」
「何だか、思いつめちゃった顔をして」
「……ごめんね。わたしこういう時、何て言ったらいいのかわからない。栗原くんの事まだ良く知らないけど、良い人だって事はわかる。真保ちゃんも、会社に入って親しくなったのは最近だけど、入社してすぐから可愛い子だなと思って、付き合ううちにどんどん好きになってる。だから、二人とも幸せになって欲しいし、今までの関係を崩したくないの」