マザコン彼氏の事情
 お母さんが作ってくれたケーキには、お店で出て来るのと同じように、生クリームとミントの葉っぱが添えられていた。
 紅茶のシフォンケーキ。
 甘さ控えめでとっても美味しい。

「お母さん、今度作り方教えて下さい」

 キョトンとしているお母さん。
 えっ?
 マズイ事言った?
 あ……
 わたしったら、馴れ馴れしく普通にお母さんって呼んじゃった。

「すみません。お母さんって呼んで」
「嬉しい。何だか今、ときめいちゃった。ハグしたいくらいよ」

 何やら興奮状態のお母さん。
 テーブルの向こうから回って来てわたしを立たせると、思いっきりむぎゅーってして来た。
 あったかい。
 エアコンで肌は冷やされているんだけど、あったかい気持ちに包まれて、何だか本当に安心出来た。
 わたしもお母さんの背中に腕を回し抱きついた。
 何だこの風景って感じで引いてる龍くんが見えた。
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