マザコン彼氏の事情
7
日曜日が来た。
今まで龍くんの家に行くのが楽しみで仕方なかったけど、今日はちょっぴり憂鬱。
あれからお母さんとはLINEでどういう風に話せばいいかのシュミレーションを重ねて来た。
だけど、あれこれ言い訳がましい事はせずに、シンプルが一番だって事になった。
お母さんが口火を切って、龍くんの出方次第でわたしもフォローに回る。
どっちの気持ちもわかるけど、今はお母さん側に着きたい。
早くしないと、お父さんに会えないままさよならしないといけなくなる。
それって、後悔しか残らないよ。
覚悟を決めて家を出た。
最寄の駅に着くと、いつものように龍くんが迎えに来てくれていた。
「おはよう」
「いつもごめんね、迎えに来てもらって」
「いいよ。僕が少しでも早くくるみに会いたいんだから」
龍くんの言葉にきゅんとなる。
いつものように手を繋いで坂道をのぼる。
今日は曇っているので、比較的太陽の熱は穏やかだ。
家に着くと、キッチンに立っているお母さんの姿が見えた。
「おはよう、お母さん」
「くるみちゃん、いらっしゃい」
「二人とも、本当の親子みたいだな」
龍くんから言われて嬉しくなる。
最近では敬語も使わなくなっている。
本当の親子。
まさしくそんな感じだ。
もし龍くんと結婚してこの家に住む事になっても、嫁姑問題なんか関係ない。
去年結婚した地元の友達なんか、同居するなら離婚するって言って、旦那さんとアパート借りてた。
「くるみちゃん、コーヒー入れてくれる?」
「はーい。わっ、そのプリン、お母さんの手作り?」
「そうよ」
「ここに来たら、いつも美味しいデザートを用意してくれるから嬉しい」
「わたしもあなたみたいに美味しそうに食べてくれると作り甲斐があるわ」
コーヒーとプリンをテーブルに運ぶ。
龍くんは既にソファーに座っていた。
「さあ、食べて食べて。ほら、龍も」
「頂きます」
三人でプリンを食べる。
美味しい……。
あごが落ちるくらい美味しい。
そして、プリンを食べ終わった頃合を見て、お母さんが口を開いた。
「龍、入院してる人の事だけどね」
龍くんがお母さんの顔をしっかり見ている。
「入院してるのは、お父さんなの」
「……」
今まで龍くんの家に行くのが楽しみで仕方なかったけど、今日はちょっぴり憂鬱。
あれからお母さんとはLINEでどういう風に話せばいいかのシュミレーションを重ねて来た。
だけど、あれこれ言い訳がましい事はせずに、シンプルが一番だって事になった。
お母さんが口火を切って、龍くんの出方次第でわたしもフォローに回る。
どっちの気持ちもわかるけど、今はお母さん側に着きたい。
早くしないと、お父さんに会えないままさよならしないといけなくなる。
それって、後悔しか残らないよ。
覚悟を決めて家を出た。
最寄の駅に着くと、いつものように龍くんが迎えに来てくれていた。
「おはよう」
「いつもごめんね、迎えに来てもらって」
「いいよ。僕が少しでも早くくるみに会いたいんだから」
龍くんの言葉にきゅんとなる。
いつものように手を繋いで坂道をのぼる。
今日は曇っているので、比較的太陽の熱は穏やかだ。
家に着くと、キッチンに立っているお母さんの姿が見えた。
「おはよう、お母さん」
「くるみちゃん、いらっしゃい」
「二人とも、本当の親子みたいだな」
龍くんから言われて嬉しくなる。
最近では敬語も使わなくなっている。
本当の親子。
まさしくそんな感じだ。
もし龍くんと結婚してこの家に住む事になっても、嫁姑問題なんか関係ない。
去年結婚した地元の友達なんか、同居するなら離婚するって言って、旦那さんとアパート借りてた。
「くるみちゃん、コーヒー入れてくれる?」
「はーい。わっ、そのプリン、お母さんの手作り?」
「そうよ」
「ここに来たら、いつも美味しいデザートを用意してくれるから嬉しい」
「わたしもあなたみたいに美味しそうに食べてくれると作り甲斐があるわ」
コーヒーとプリンをテーブルに運ぶ。
龍くんは既にソファーに座っていた。
「さあ、食べて食べて。ほら、龍も」
「頂きます」
三人でプリンを食べる。
美味しい……。
あごが落ちるくらい美味しい。
そして、プリンを食べ終わった頃合を見て、お母さんが口を開いた。
「龍、入院してる人の事だけどね」
龍くんがお母さんの顔をしっかり見ている。
「入院してるのは、お父さんなの」
「……」