マザコン彼氏の事情
10
十一月二十八日。
今日と明日、一泊二日で社員旅行に出掛ける。
四月にこの計画を聞いた時には、龍くんと一緒に過ごせる旅行が楽しみでしかたなかった。
早くこの日が来ないかとワクワクしていた。
だけど今はちょっと複雑。
彼女じゃなくなった今、何も期待出来ないし、しちゃいけない。
何でもないように振舞えるかな?
いっその事、真下さん達とつるんで楽しく過ごそうかな。
真下さんは、いつでもわたしを優しく受け入れてくれる。
わたしにその気がないって知ってるから、先輩として接してくれるだけだ。
だから、わたしも安心して近づける。
真下さんを利用するような形になるかもしれないけど、彼氏、彼女が居ない者同士、お酒でも飲んで楽しく過ごしたい。
空港のロビーには、もう半数以上の社員が揃っていた。
飛行機で福岡空港まで向かい、そこから貸切バスで別府まで向かう。
「岡嶋さーん」
声のする方を見ると、真保ちゃんがわたしに向かって手を振っていた。
「あ、おはようー」
「おはようございます。座席、わたしと岡嶋さんと真下さんが一緒ですよ」
「本当?」
ほっとした。
龍くんと一緒だったらどうしようと思っていた。
「宿の部屋も一緒だし、楽しい旅行になりそうですね」
「そうね」
真保ちゃんは、この旅行を楽しみにしているようだ。
わたしも、龍くんの事は忘れて楽しもう。
「嬉しいなぁ。岡嶋ちゃんと吉田ちゃんの間に座れて」
わたしと真保ちゃんは、真下さんを挟む形で両サイドに座った。
真下さんは終始ご機嫌。
でしょうでしょう。
二人の美女-----少なくとも真保ちゃんは-----に挟まれて。
当たりくじを引き当てたと言わんばかりのにやけ顔だった。
「真下さん、夜は寂しい一人者同士、お酒でも酌み交わしませんか?」
「お、いいね~。栗原とラブラブな吉田ちゃんはきっと途中で姿をくらますだろうから、二人で飲みますか」
よし、今晩の予約成功。
これで楽しく過ごせそう。
飛行機が離陸し、目的地の福岡空港を目指して飛び立った。
今日と明日、一泊二日で社員旅行に出掛ける。
四月にこの計画を聞いた時には、龍くんと一緒に過ごせる旅行が楽しみでしかたなかった。
早くこの日が来ないかとワクワクしていた。
だけど今はちょっと複雑。
彼女じゃなくなった今、何も期待出来ないし、しちゃいけない。
何でもないように振舞えるかな?
いっその事、真下さん達とつるんで楽しく過ごそうかな。
真下さんは、いつでもわたしを優しく受け入れてくれる。
わたしにその気がないって知ってるから、先輩として接してくれるだけだ。
だから、わたしも安心して近づける。
真下さんを利用するような形になるかもしれないけど、彼氏、彼女が居ない者同士、お酒でも飲んで楽しく過ごしたい。
空港のロビーには、もう半数以上の社員が揃っていた。
飛行機で福岡空港まで向かい、そこから貸切バスで別府まで向かう。
「岡嶋さーん」
声のする方を見ると、真保ちゃんがわたしに向かって手を振っていた。
「あ、おはようー」
「おはようございます。座席、わたしと岡嶋さんと真下さんが一緒ですよ」
「本当?」
ほっとした。
龍くんと一緒だったらどうしようと思っていた。
「宿の部屋も一緒だし、楽しい旅行になりそうですね」
「そうね」
真保ちゃんは、この旅行を楽しみにしているようだ。
わたしも、龍くんの事は忘れて楽しもう。
「嬉しいなぁ。岡嶋ちゃんと吉田ちゃんの間に座れて」
わたしと真保ちゃんは、真下さんを挟む形で両サイドに座った。
真下さんは終始ご機嫌。
でしょうでしょう。
二人の美女-----少なくとも真保ちゃんは-----に挟まれて。
当たりくじを引き当てたと言わんばかりのにやけ顔だった。
「真下さん、夜は寂しい一人者同士、お酒でも酌み交わしませんか?」
「お、いいね~。栗原とラブラブな吉田ちゃんはきっと途中で姿をくらますだろうから、二人で飲みますか」
よし、今晩の予約成功。
これで楽しく過ごせそう。
飛行機が離陸し、目的地の福岡空港を目指して飛び立った。