マザコン彼氏の事情
11
 新たな年がやって来た。
 お正月は、真保ちゃんと栗原くんと一緒に初詣に行った。
 二人がいちゃついてる姿を後ろから見ながら、そのうちこの二人、結婚するんじゃないかなと思う。

 どうやらわたしのモテキは去年で終止符を打ったみたい。
 
 龍くんファミリーとの温泉旅行は、一月十日と十一日の土日に決めた。
 軽い打ち合わせは、龍くんと会社で済ませてある。
 それが済んだら、本当に龍くんとさよならだね。

「岡嶋さん、これから食事して帰りましょうか?」
「そうね」

 近くのファミレスでランチを食べ、二人と別れて自宅に戻った。
 明日、日帰りだけど、田舎に帰る。
 父に会うのは久しぶり。
 そのついでに、友達と飲みに行く約束もしていた。
 雛子は第一子を妊娠中だからアルコールは無理だね。
 奈緒美も授乳中。
 あーみんな結婚してお母さんなんだ~。
 残っているのは佳代子とわたしだけ?
 ヤバい。
 早く良い人見つけなきゃ。


 仕事が始まり、またいつもの生活が始まった。
 
「岡嶋さん、新年一発、大口契約取って来ますから、在庫確認お願いしますね」
「オッケー」

 栗原くん、相変わらず張り切ってるな。
 龍くんも休んでいたのを取り戻すように、精力的に働いている。
 担当の真保ちゃんにも、日に何度も電話が掛かって来ていた。

「真保ちゃん、お昼行く?」
「あ、ごめんなさい。今日は栗原くんと約束してるんで」
「そうなんだ。わかったそれじゃ先行くね」

 お弁当箱を抱えて食堂に行く。
 自動販売機からあったかいお茶を出した。

 どこに座ろう?
 窓際にしようかな。

 なるべく人の居ない隅の方に掛けた。
 もちろん一人で食べている人も他に居る。
 だけど、いつも真保ちゃんと食べてたから、空いている席が寂しい。

「頂きます」
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