好きが涙に変わって溢れてく。
◆ Section1◆
二人の関係
「おー、片桐」
後ろから鞄で頭を叩かれて、私は地面に倒れそうになるのを必死に踏ん張った。
この声は間違いなく。
「……痛いわね!あんたは毎朝人の頭を叩いて何がしたいのよっ‼」
「お前の頭が無駄にでけぇんだよ~」
頭を押さえながら私の頭を叩いた張本人を睨みつける。
楽しそうに喋る彼を、キッと睨みつけた。
「ほんっとにあんたってムカつく‼」
「おー結構結構」
そんなことを言っていても、心の中はすごく高鳴っていた。
彼は私の好きな人。もう3年も片想いしている。
溝端 魁。
中学校の頃から私は片想いしてたけど、当時は全く話したこともない。
何をきっかけに?
そう聞かれてもよくわからない。
ただ、気づいたら周りが見えなくなるくらい、彼に落ちていたのだ。
きっと、その笑顔に。