好きが涙に変わって溢れてく。
堪えるように口元に手を当てる魁の姿に、私の頭の中で何かがプツンと切れた。
「うるっさいわね‼何であんたみたいな変な奴に変って言われなくちゃいけないのよ‼
似合わないなら似合わないって言えばいいでしょ!?魁のアホ‼」
真っ赤になりながら私は周りの存在も忘れて叫んだ。
恥ずかしくて、ショックで、“素直になる”なんて言葉を忘れていた。
「おいおい、何も似合わねえなんて言ってねぇだろ?」
「だったら何よ!?変って言ったじゃない‼
大体ね、あんたに見せる為にこの髪型にしてきた訳じゃないのよっ‼」
フン、と顔を背けてスタスタと歩き出す。
そんな私を魁は面白そうに付いてきていた。
嘘だ。
本当は少しでも綺麗になろうと、魁に振り向いてもらおうと頑張って努力したことなのに、私の口からは正反対の言葉しかでない。
「ふ~ん。じゃあお前好きな奴いるんだ?」