好きが涙に変わって溢れてく。
「それじゃあ意味ないじゃん。ずっとこのままでいいの?」
「それは……嫌」
「じゃあそんな考え捨てな。ただ“好きだ”って気持ちを大切にしたらいいよ。このままだと本当に、後悔しか残らないよ」
彩葉の言葉に、私は涙を拭いて頷いた。
「とりあえず教室に戻ろっか?もうすぐ先生が来るし」
「うん」
真っ赤だった鼻と目もすっきり肌色に戻って、泣いたということもわからなくなってから私達は教室に戻った。
崩れた化粧がわからないように、私はずっと下を向いたままだったから、前なんて見てなかったんだ。
「あ、明菜ちゃん‼」
「魁くん」
少し遠くに聞こえた2人の声。
彩葉達がその場に立ち止まった。
「これ、昨日の金。貸してくれてありがとう、助かった‼」
「ううん、いいよ。またいつでも言ってね」
「まじ!?やったぁ、優しいね明菜ちゃん!」
楽しそうな会話。
ほんの少しだけ顔を上げると、2人の笑顔が見えた。
「行こう」
「え?」
「いいから、ね?」