好きが涙に変わって溢れてく。

今、何が起きているの……?

頭が追いつかない。


私の目の前にいるのは、抱き締めてくれているのは、本当に魁なの?



「魁……?」



私は確かめるように、そっと彼の名を口にした。

すると……



「あ、ゴメン‼」



バッと勢いよく離れた体。そこにいたのは確かに、魁だった。



魁だ……魁が来てくれたんだ……。


嬉しさと安堵のあまり、また涙が出そうだ。


だけど私は必死にそれを堪えた。



「もう!どこにいたのよっ‼探したじゃん……っ‼」



今までの寂しさを全て魁にぶつける。

胸を何度も叩くと、魁は笑って私の手を掴んだ。



「ホントにゴメンって……っ」


でも……よかった、見つかって。

私、置いてかれた訳じゃないんだ……。



「とりあえず座ろうぜ」


「あ……うん」



気づいたら私たちはずっと立ったまま大分上がっていた。


向かい合わせになって、魁はようやくホッと一息ついている。

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