好きが涙に変わって溢れてく。

「で、どこにいたの?」


改めてたずねると、魁は言いにくそうに目をそらす。



「魁?」



怪訝の眼差しを送ると、魁はゆっくりと口を開いた。





「お前がトイレ行った後、俺も行ったんだよ」


「へ?」



思わず聞き返してしまった。




「だから俺もしたくなってトイレ行ったの‼それで戻ったらお前いねぇし、まじ焦ったよ」


「魁もトイレ行ったの?」


「そう‼」



目が点になる私に、魁はヤケクソにそう強く言った。


何だ……そうだったんだ。入れ違いみたいなもんか。


あそこでずっと待ってたら、魁に会えたんだ……


私ってば置いてかれたと勘違いして……



「ふ、ふふ」



自分の考えてたことを思い出すと、笑みがこぼれてきた。



「何だよ。もしかしてバカにしてんのか?」


「ううん……っ、違うの。ただよかったって、安心して……」


「安心?」


「だって、ずっとワガママばっか言って私に付き合わせてたから、嫌になって先に帰っちゃったのかなぁってすごく不安で……」

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